保釈金の相場
1 保釈について
保釈は、保釈金を納付させて未決勾留中の被告人を釈放することを言います。
被告人や弁護人等の請求により、または裁判所の職権により行われます。
保釈を許す場合は、被告人の住所を制限するなど適当な条件を付すことができます。
保釈中に裁判所から召喚を受けて正当な理由なく出頭しなかったり、逃亡したりしたとき、保釈は取り消され、保釈金の前部又は一部が没取され、再び拘置所等に収容されます。
2 保釈金について
保釈金は、勾留中の被告人について保釈を許す場合に、被告人の出頭を確保するために裁判所が定める保証金を言います。
この保釈金の納付がなければ、被告人は釈放されません。
裁判所は、保釈請求者が保釈人を納付した場合だけでなく、それ以外の者が代納した場合や他の者の保証書等で保証金に代えることを許すことができます。
被告人が逃亡した場合などで保釈が取り消されたとき、裁判所は保釈金の全部または一部を没取することができます。
3 保釈金の相場
刑事訴訟法93条2項は、保釈金の金額について、「犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない」と規定しています。
一般的に、保釈金の相場として、150万円から300万円程度といわれていますが、その範囲内で定まっているものではありません。
例えば、被告人が高収入であれば、低額の保釈金では没取されても不利益が小さく逃亡等の抑止力は弱いので、保釈金の額は高く設定されます。
反対に、被告人が低収入であれば、低額の保釈金でも没取される不利益が大きく逃亡等の抑止力は強いので、保釈金の額は低めに設定されます。
また、犯罪が重大で、実刑も含めて重い刑罰が科せられる可能性がある場合、保釈金が低額であれば、保釈金を没取されるリスクがあったとしても逃亡しようと考える被告人がいる可能性があるため、保釈金が高めに設定される傾向があります。
刑事事件に強い弁護士とは
1 刑事事件を専門とする弁護士
刑事事件に強い弁護士とは、どのような弁護士を指すのでしょうか。
まず、刑事事件に強いといえるためには、刑事事件が得意分野であるといえることが必要かと思われます。
医師が心臓内科、循環器外科等の様々に細分化された専門分野に分かれているように、弁護士も一般民事、企業法務、渉外、離婚関係、相続関係等の細分化された専門分野ごとに分かれているのが実情です。
もし、刑事事件をよく理解していない弁護士に依頼すると、適切な刑事弁護を期待できない可能性があります。
2 刑事弁護の豊富な経験がある弁護士
また、刑事事件に強いといえるためには、刑事事件の豊富な経験があることも必要かと思われます。
刑事事件には特有の用語や手続があり、それらに慣れている必要があります。
また、刑事事件には、身柄拘束の期間に時間制限が設けられており、その制限の中で、検察官や裁判官に対し、被疑者を勾留せずに釈放することを働きかけるほか、検察官に対し、被疑者を不起訴にすることを働きかけるなどする必要があります。
そのため、刑事事件の用語や手続についてよく理解し、身柄拘束の解除や不起訴を効果的に働きかける経験を豊富に有する弁護士によって、早期の釈放や不起訴処分を獲得することができる可能性を高めることができます。
仮に起訴されたとしても、刑事裁判の手続や用語をよく理解しており、刑事裁判を担当した経験が豊富な弁護士によって、事実関係を争う場合は無罪判決を求める主張や立証を期待することができます。
また、事実関係を争わず、量刑のみを争う場合でも、刑事裁判の豊富な経験を有する弁護士によって、被告人に有利な事情を主張、立証することによって、執行猶予付きの判決など、より被告人にとって有利な量刑を期待することができます。
3 刑事事件に強い弁護士とは
まとめますと、刑事事件に強い弁護士とは、刑事事件を専門としており、刑事事件に豊富な経験を有する弁護士であるということができます。